2020年に北海道へ移住したママの体験談
「自然の中で子育てしたい」という思いがあり、我が家は、長男が小学校に入学するタイミングで首都圏から北海道へ移住しました。
地方移住への新たな交付金が検討されるなど、今、地方移住にますます注目が集まっています。この機会に移住について検討しているご家庭も多いかもしれません。
出典:テレワークで地方移住、最大100万円補助 政府21年度から
今回は、子育て世代の地方移住のメリットとデメリットについて、筆者が感じたことを踏まえてご紹介します。
子育て世代の移住のメリット
まずは思い切って移住して良かったと思う点をご紹介します。
1.自然と触れ合う機会が増える
ビルや住宅が雑然と並ぶ都心部に比べ、地方での生活は自然に囲まれています。
我が家も目の前には大きな公園がありますし、少し足を延ばせば国立公園やハイキングコース、スキー場など大自然に触れられる場所が山ほどあります。自然と常に触れ合う機会があるので、四季折々の景色も美しく、昆虫や野鳥、小動物に出会えるチャンスも増えました。
子供にできるだけ自然と触れ合う機会を与えたいと考えている家庭にとっては、大きなメリットになるのではないでしょうか。
2.通勤ラッシュのストレスが減る
親にとって大きなメリットとなるのが通勤ラッシュから解放される(または、通勤ラッシュのストレスが軽減する)点です。地方では街全体がコンパクトなため、通勤にかかる時間がぐんと減ります。
ニッセイ基礎研究所調査(2020)によると、平均通勤時間の全国平均は36.5分だったのに対し、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県などの首都圏の片道通勤時間は全て45分以上となっており、東京都を除く埼玉県、千葉県、神奈川県の三県では、さらに長い50分以上という結果でした。
参考:都道府県別平均通勤時間
ラッシュ時の混雑具合も、都心部と地方では大きく異なります。筆者の夫は、移住前は片道約1時間かけて通勤していましたが、とにかくその時間がもったいないことと、電車の混雑が大変ストレスだったと話していました。通勤ラッシュから解放されたいという気持ちが地方移住への大きなモチベーションだったようです。
3.車生活になり、行動範囲が広がる
都心部では交通網が発展しているため、自家用車を持っていなくても不便することはありません。駐車場代が高いこともあり、自家用車を持たずに公共交通機関を利用して生活している家庭も多いのではないでしょうか。
一方、地方では自家用車無しでは不便なことが多く、必然的に車生活になることが多いでしょう。
車生活になると、気軽に遠出できるため、行動範囲が広がります。ドライブやアウトドア、旅行など、子供と一緒にアクティブに楽しみたい家族には大きなメリットです。
4.友達が増える
これまでは地方で生活することのメリットを挙げてきましたが、引っ越しに関してもメリットはあります。親子ともに馴染みのある土地が増え、友人や知り合いが増えるということです。
さまざまな土地を知り、その地域で暮らす人の生活や考え方に触れることは、子供の視野を広げてくれると私は考えています。
子育て世代の移住のデメリット
前述ではメリットをいくつか上げましたが、もちろんデメリットもあります。
1.車の運転ができないと大変
メリットとして挙げた「車生活」ですが、人によってはデメリットにもなり得ます。車の免許を持っていなかったり運転が苦手だったりする人にとって、車がないと生活できない環境というのは大変不便です。
筆者も運転免許を持っているものの、免許取得後一度も運転したことがないため、完全なるペーパードライバーです。この状態でしっかりと安全運転できるかどうか自信がなかったので、移住先は自然に囲まれていながらも、公共交通機関へのアクセスも良い場所を選びました。
2.仕事の選択肢が減る
多種多様な仕事が集まる都心部に比べると、地方での求人は種類も数も少ないのが一般的です。移住後の生活をイメージする上で、転職先の仕事内容や給与は重要事項の一つです。自分が求めているような働き方が実現できるか?自分の能力を活かした仕事が見つかるか?そして何より家族が生活する上で十分な給与を得ることができるか?という点はしっかりと見極めてから移住すると安心ですね。
3.娯楽施設やイベントが少ない
都心部では、あちらこちらでさまざまなイベントが開催され、最先端の文化や技術、エンターテイメントに触れる機会に溢れています。地方ではそういったトレンドへのアクセスは難しくなります。
しかし一部では、オンラインを使ったイベント開催なども実施されるようになってきました。インターネットを活用すれば、地方にいながら全国各地(または世界中)の人々と交流できるチャンスがあります。
4.新しい環境に適応する必要がある
引っ越しには友達が増えるというメリットもありますが、仲の良い友達との別れや慣れ親しんだ地域から離れる寂しさも、もれなく付いてきます。子供の性格によっては、環境の変化をなかなか受け入れられない場合もあるかもしれません。
子供にとって、ある日突然知らない土地に連れていかれると、どんな性格の子供でもびっくりしてしまうでしょう。我が家の場合、私の実家の近くに移住したので、子供たちにとって「おじいちゃんとおばあちゃんにたくさん会える」というモチベーションがありました。
移住前に何度も訪れたことのある地域だったので、引っ越す前から移住地のイメージが容易に想像できたことも、安心感につながったのかなと感じています。
地方移住にベストなタイミングは?
地方移住にベストなタイミングは、それぞれの家庭によって異なると思います。我が家は、夫婦の仕事の区切りと子供の就学の両方の面からタイミングを決めました。
子供の年齢に応じて、それぞれに「ベストタイミング」と思えるような良い点があります。
妊娠中から子供が2歳頃まで
子供が物心つく前の移住の場合、引っ越し前の地域での友達も少なく、新しい環境や生活に馴染むことが比較的容易でしょう。
このタイミングでの移住で注意したいのは、妊娠中や子供が小さいうちの引っ越しはとにかく大変だという点。また、子供には移住前の地での記憶がほとんどないので、親としては少し寂しく感じることもあるかもしれません。
子供が年少~年中の頃
幼稚園や保育園を転園しなければならないため、環境の変化や友達との別れなど、子供の性格によってはストレスを感じてしまう場合もあるかもしれません。
しかし、小学校入学前に新しい環境に適応できるという点では、この時期の移住にもメリットはあります。小学校に入学する際、同じ幼稚園や保育園からのお友達がいると安心感があります。
子供の就学時(小学校入学のタイミング)
子供の就学時のタイミングで移住する場合、環境の変化と引っ越し、子供の小学校入学など、さまざまなイベントが重なるのでとにかく大変です。我が家はこのタイミングで引っ越しをしましたが、引っ越し作業がひと段落した時、どっと疲れて私は体調を崩してしまいました。
大変ではありますが、幼稚園や保育園の卒園と同時に引っ越すというのは、区切りが良いため、子供心にも納得しやすいタイミングなのかなと筆者は感じました。我が家の長男が通っていた保育園では、半数くらいが最寄りの小学校へ進学しましたが、残りの半数は隣の学区の小学校だったり、私立校や国立校だったりと、進学先はさまざま。友達との別れは辛かったようですが、その辛さは他のみんなも一緒だったので、長男は移住に関しても比較的すんなり納得してくれました。(あくまで我が家の場合ですが。)
子供の就学後
子供が小学校に入学した後の移住(引っ越し)の場合、子供が転校しなければいけないという点が大きなハードルになります。しかし、地方移住だけでなく、親の仕事の都合で転校する家庭は他にもたくさんいます。親子でしっかり話し合った結果の移住であれば、子供も納得してくれるのではないかと思います。
子供が成長してからの移住は、子供からある程度目を離せるため、引っ越しの準備や後片付けがはかどりやすい点が大きなメリットです。また、子供目線の意見を取り入れながら移住計画を進めることができ、家族が一体となったプロジェクトとして移住を実現できることも魅力的ですね。
ただし、子供が中学や高校に進学すると、勉強や部活などで忙しくなり、親子で過ごす時間は必然的に短くなります。地方移住の醍醐味であるアウトドア体験などを家族で楽しみたいと考えている場合は、できるだけ早く移住した方が、長く楽しめるでしょう。
大変なこともあるけど、我が家は地方移住を楽しんでいます
ますます注目される地方移住。大変なことやデメリットもありますが、我が家は移住生活を毎日楽しんでいます。
引越しは子供にとっても大きな出来事。家族にとって一大イベントなので、親子でしっかり話し合い納得して移住できるのが一番ですよ。私の体験談がどなたかの参考になったら嬉しいです。