出産を機に「仕事か育児か」産後の働き方の可能性について

 

最近では、子供を保育園に預けて働く共働き世帯が一般的な風景になってきました。

しかし、第一子の出産を機に仕事を辞める選択をする女性の割合は、第1子出産前後での就業状況の半数近くを占めているというのが現状です。

 

内閣府が平成30年11月に発表した調査結果「『第1子出産前後の女性の継続就業率』及び出産・育児と女性の就業状況について」によると、出産を機に退職する人の理由の中で、とくに多いのは「子育てをしながら仕事を続けるのは大変」という回答。

 

また「子育てに専念したい」「自分の体や胎児を大事にしたい」という理由も多く挙げられています。

参考:http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_45/pdf/s1.pdf

 

もし子育てしながらでも無理なく続けられる働き方があったら?

子育てに専念しつつ、少しだけ働くというワークスタイルが可能なら?

出産を機に「仕事か育児か」の二者択一ではなく、その中間の選択肢があれば、働くことに対してもっと前向きになれるのではないでしょうか。

 

今回は、保育園だけではない、さまざまな保育の形について調べるとともに、産後の働き方の可能性について考えてみたいと思います。

 

 

 

1. 保育園

 

親が仕事を持っている場合の子供の預け場所として、多くの人が一番にイメージするのが保育園でしょう。

子供の保護者が、仕事のために家庭で保育できない場合などに利用することができます。勤務時間や入所条件は各自治体によって異なりますが、私の住む横浜市では、「1日4時間以上、月16日以上働いているとき」とされています。(仕事を理由に保育園を利用する場合)これは、子供が日常的に保育園を利用する場合の条件です。

 

参考:https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/hoiku-yoji/shisetsu/hoikuriyou/h31hoikuriyou.files/0003_20190225.pdf

 

上記以外に、子供をときどき保育園に預けたい場合に利用できる制度が一時保育です。

私の住む横浜市では、「非定型的保育(週3日又は月120時間以内)」「緊急保育(1回に連続して14日以内)」「リフレッシュ保育(1回の申し込みにつき1日以内)」の三種類の一時保育制度があります。フルタイムではなく、週に何日かだけ働きたいという人でも、保育園を利用することができるのです。

  

 

2. 企業主導型保育園

平成28年に新設された新しい制度で、企業が従業員のために設置する保育園のことです。

認可外保育園なので、従業員の多様な働き方に応じて柔軟な保育サービスを選択することが可能な点が大きなメリットです。(延長・夜間、土日の保育、短時間・週2日のみ、など)

 

参考:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/links/index.html

  

 

3. 幼稚園

 

親の就労の有無に関わらず、子供は満3歳から幼稚園に入園することができます。

9時から14時まで開所している幼稚園が多いですが、希望者を対象に夕方まで延長保育を実施している園もあります。私の住む横浜市では、市が認定した「横浜市預かり保育幼稚園」において、夕方や長期休暇も含めた保育も実施しています。

 

公務員は育休を最大3年間取得することができるので、公務員なら子供が3歳になるタイミングで、子供の幼稚園入園とともに職場復帰することも可能です。

預かり保育をおこなっている幼稚園を選べば、フルタイム勤務も問題ありません。

 

また、子供が3歳になるまでは子供の側で仕事量をセーブしながら働き、子供が3歳になってからは幼稚園を利用し、勤務時間を少しずつ長くするという方法もあります。

ある日突然両立生活に入るのではなく、子供も親も少しずつ生活を変化させることができるので、無理なく両立生活へシフトすることができそうです。

子供の側で働くという方法については、次の段落で紹介します。

 

 

子供の側で仕事に集中したい人のための選択肢

 

「子育てに専念しつつ、少しだけ仕事をしたい」

「子供の側を離れたくない。でも子供がいると仕事に集中できない」

子供を保育園に預けて外で働くか、専業主婦かの二者択一では実現できなかったことが、保育サービスの新たな広がりによって可能になってきています。

子育てに専念しつつ、自分や子供の負担にならない範囲で仕事をしたい人にぴったりの保育サービスが保育付きシェアオフィスやベビーシッターです。

 

保育付きシェアオフィス

 

保育園やキッズスペースを併設したコワーキングスペースが増えてきています。フリーランスやリモートワークなど、会社に出勤しなくても働くことができる仕事を持っている親にとって、保育付きシェアオフィスは最適な場所です。

 

子供のすぐ側で働くので、万が一災害などが発生してもすぐ子供の側にかけつけることができ安心です。また母乳育児を続けられたり、子供と一緒に食事を取ることができたりといったメリットもあります。現在は首都圏や中部、関西エリアにしかありませんが、今後地方にも広がっていくと良いですよね。

 

参考:https://www.maffice.com/

  

ベビーシッター

 

時間や場所にとらわれずに利用できるサービスとしてベビーシッターがあります。短時間から利用できたり、保育だけでなく家事やお稽古も依頼できたりと、柔軟なサービス内容が魅力です。

 

スマホでベビーシッターを手軽に探せるサービスもあります。1時間あたりの料金が比較的高くなってしまうのがベビーシッターのデメリットですが、自治体や福利厚生の補助を利用して割引を受けられる場合もあるようです。

 

参考:https://kidsline.me/

  

 

子供が病気のとき

 

仕事と育児の両立を目指す上で避けては通れない課題の一つが子供の体調不良です。

子供が風邪をひくなどの体調不良の場合、親が仕事を休んで看病できればそれが一番ですが、そうはいかない場合もあります。

どんな働き方をしていても、子供の体調不良に備えておくことは大切です。

 

  

実家にサポートをお願いする

 

子供が体調不良になった場合に実家を頼る家庭も多いでしょう。

しかし実家が遠方だったり、祖父母が仕事や持病を持っていたりする場合は、突発的なサポートは難しい場合もあります。

 

 

夫婦間で協力

 

子供の発熱は短期間で回復する場合もありますが、数日以上長引くこともあります。

とくにインフルエンザなどの感染症の場合、解熱後も一定期間外出できない場合もあります。そういったときに、夫婦どちらか一方が看病を負担するのではなく、交代で出社したり時間差で出勤したりすることで、どちらかに過度の負担がいかないように工夫することができます。

 

 

病児保育や病後児保育を利用する

 

病児保育とは、医療機関が併設された保育施設です。我が家でも子供が風邪で発熱してしまったときに、病児保育を利用したことがあります。医療専門家が近くで見守ってくれる安心感がある一方で、ほかの感染症をもらってくるリスクもありますし、子供の性格によっては精神的に負担がかかってしまう場合もあります。

 

そういったデメリットを克服するために、自宅訪問型の病児保育をおこなっているサービスもあります。

 

参考:https://florence.or.jp/

  

 

ママライターの体験談

 

私は第一子を出産後、産休と育休を経て、子供が6か月になるころに職場復帰しました。

私自身仕事が好きでしたし、保育激戦区と呼ばれる横浜市でも運よく自宅近くの保育園に入園できたので、夫婦ともに人生の流れに身をまかせた結果、「共働きで子供を保育園に入園させる」という決断になりました。

  

しかし、職場に復帰後、子供の体調不良で仕事を何日も休んでしまったり、私自身オーバーワークで体調を崩してしまったり、思うように働けない日々が続きました。

週末は夫婦ともにぐったりと疲れてしまい、子供としっかり向き合うことができているのだろうか?と不安に感じることもありました。

  

私にとって転機となったのは第二子出産後の復帰でした。子供が二人になれば子供の体調不良で会社を休む日も二倍。長男の赤ちゃん返りも経験し「もっと子供と向き合う時間が必要だ」と実感しました。

決まった時間に職場に居なければならないという働き方に限界を感じ、退職。思い切ってフリーランスのライターとして開業することにしました。

  

フリーランスに転身した後も、子供たちはそれまで通っていた保育園を継続しています。

しかし「何が何でも朝〇時までに出社しなければ」というストレスがないので、朝の時間に余裕が持てたり、子供の体調不良にもゆったりとした気持ちで付き合えたりできるようになりました。働き方を変えるだけで、ここまで気持ちが変わるのだと感じました。

同時に、こういった働き方でも受けられる保育サービスがたくさんあることを知り、もっと前から知っていたかったと感じました。

  

 

産後の働き方の可能性《まとめ》

 

 

「頑張るワーママ」の姿をいたるところで目にするようになったということは、それだけ女性の社会進出が進んだ喜ばしい結果だと考えられます。

 

しかし、そういった頑張る女性の姿は「仕事と育児の両立が大変なのは当たり前。みんな頑張っているからあなたも頑張るべき」というネガティブなメッセージを発信してしまうリスクも秘めています。

 

働き方は人それぞれ。働き方の多様性を後押しするように、保育にもさまざまな形があるということを、ぜひたくさんの人に知っていただきたいと思います。