「SDGs」という言葉はほとんどの人が聞いたことがあると思います。ただ、もしお子さんに「SDGsってなに?」と聞かれて、きちんと答えてあげることができるでしょうか?

 

私自身、恥ずかしながら最近まで言葉の意味も内容も(読み方すら)理解できていませんでした。今回のオリンピックでも「多様性」がテーマのひとつとなり話題になりました。この機会に、子供と一緒にSDGsについて考えてみることにしました。

 

SDGsの意味とはなんなのでしょうか?

SDGs(サスティナブルデベロップメントゴールズ 持続可能な開発目標という意味の頭文字)

 

世界では、貧困、人種差別、環境破壊などの問題に直面しています。
このような問題を解決するために「誰一人取り残さない」という共通理念のもと国連が加盟193ヵ国が達成を目指す2030年までの国際目標ということです。

その目標は大きく17に分けられていて、さらに詳しく169のターゲットとして設定されています。これは2015年に打ち出された定義ですが、あと10年を切ったタイミングで、書店には、多くの関連本が並び、企業での取り組み方も注目されるようになっています。

 

17の目標は以下のとおり

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人の健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6・安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公平をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達せしよう

 

さまざまな目標が定められていますが、ひと言で言えば「このままでは地球が危ない!全世界で協力して、目標達成を目指そう!」というところだと思います。

SDGsの意味はわかりましたが、個人が日常で世界のためにできることってあるのでしょうか…

 

 

目標だけをみると、日本では普段はあまり取り上げられることの少ない課題もあります。それだけ日本は恵まれている国である、ということを念頭に置いておく必要があります。まずは今世界で起きているさまざまな問題について考え、今の私たちの暮らしを振り返ってみます。そのうえで、今できること、子供たちに伝えられることを考えていきます。

 

今できること、子供たちに伝えられること


世界中で飢餓に苦しんでいる人がいる

 

世界の飢餓人口 8億2000万人 (2018年国連世界食糧計画より)
日本の人口の7倍もの人が十分な食料を確保できていないことになります。一方、日本は年間2500万トンの食品廃棄物が出されているといわれています。オリンピック開会式でスタッフ向けのお弁当の大量廃棄が問題になりました。

 

日本の食料自給率は37%。
6割以上を輸入に頼っているにも関わらず、日々食料を廃棄している事実を日本人としてしっかり受け止めるべきだと思いました。学校給食でも残食ゼロの取り組みが行われています。世界に目を向けると、食べられることは必ずしも当たり前のことではないということを子どもたちにも伝え、残さず食べる、バイキングなどでは食べられる量だけ取り分ける、など小さなことからできる取り組みを一緒にやっていければいいと思います。

 


地球温暖化の進行

 

地球温暖化とは二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが大気中に放出され地球全体の平均気温が上昇する現象のこと。これは世界共通の問題です。地球温暖化の影響で、南極の氷が今までにないスピードで溶けていて、このままでは海の水位があがり、陸地面積が減る可能性もあるといわれています。

 

このままでは、2100年には気温最大4.8℃上昇、水位最大82cm上昇との報告もあります。

気温が上昇すると、大雨による洪水や干ばつ、動植物の生態系にも被害を及ぼします。ここ数年の全国各地での大雨による被害をみると、環境破壊の恐ろしさを強く感じます。

 

今はCO2削減に積極的に取り組んでいる企業もたくさんあります。身近なお店や企業が環境問題に対してどんな考えをもっているのか、調べてみることが第一歩になると思います。

 


海洋プラスチックごみ問題

 

日本では2020年7月からレジ袋の有料化がスタートしました。エコバッグを使用する人が増え、少しずつプラスチックの削減への意識が高まってきています。しかし、海にごみとして流れ着いた海洋プラスチックごみはすでに1.5億トンもあるといわれています。海の汚染だけでなく、生態系にも影響を与えるため大きな問題になっています。毎年、ボラティア団体による海をきれいにする運動が行われていますが、ごみを捨てるひとがなくならない限り、いつまでたってもきれいになることはありません。

 

子どもに「ごみはゴミ箱へ」「ごみのポイ捨てはしないこと」と教えている大人が、海を汚すことは絶対にしてはいけないことなのです。また、買い物の際の不要なレジ袋や無料のストローやプラスチックスプーンなど「もらわない」という選択肢もあることを子どもたちには伝えていきたいですね。

 


LBGT、ジェンダー差別

 

これはとても難しい問題です。オリンピックでも選手の発言や抗議が大きな話題となりました。残念ながら、日本での認知度、理解度は世界的にまだまだ低いといえるでしょう。

 

小さい頃から、性別、人種の差別を理解することは難しいかもしれません。けれど、幼稚園や学校のお友達が皆それぞれ違うように、世界にはもっといろんな人がいる、ということを親が丁寧に教えていけば、理解が深まり、差別意識がなくなっていくように思います。また、自分とは違う相手を理解しようとする想像力が身に付けば、いつまでたってもなくならない学校の「いじめ問題」の解決の糸口になるのではないでしょうか。

 


 

 

17の目標をすべて個人で取り組むには限界があります。大きな目標は、国や企業でなければ取り組めないものもあります。その中で、誰もが社会貢献できるのは「消費」です。

 

「エシカル消費」という言葉はご存じでしょうか?

「エシカル」とは「倫理的な」という意味です。倫理的とは、法律の縛りはないけれど、多くの人が正しいと思うこと、人間の良心から発生した社会的規範のこと。少し難しい言葉ですが、地球環境や人、社会、地域に配慮して考えて消費することです。今まで何気なくしていた買い物を「エシカル」という視点を持って購入することで社会貢献につながるのです。

 

その代表が「フェアトレード商品」です。フェアトレードとは途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入する貿易のしくみ。フェアトレード認証製品には、コーヒーやチョコレートがあるので、より身近に考えるきっかけとなれるでしょう。地域に配慮する消費としては、「地産地消」が上げられます。地元の物を地元で消費する。これも輸送の手間やコストを省き、ロスをなくす、立派な取り組みだと思います。このような小さな取り組みやひとりひとりが意識を変えることで、少しずつ目標達成に近づいていけるのです。

 


2030年に目標を達成するために

2030年に目標を達成するためにはひとりひとりが「今」すぐにでも始めなければいけません。個人でできることは小さくても、皆がやれば、達成に近づくのです。

9年後の子どもたちの未来を明るくするために、親ができることはたくさんあると思います。ぜひ、お子さんと一緒に少しずつでもずっと続けられるような取り組みをしてほしいです。一緒に頑張りましょう!

 

余談ですが私の次女は夏休みの自由研究にSDGsを選びました。世界の現状を知り、子供なりに考えながら成長していってほしいなと思っています!