写真・文:mamioh編集部
東京都世田谷区の三軒茶屋に、「Santnana(サントナーナ)」
そこには、ベビーシューズの「Attipas(アティパス)」や靴下の「Sockwell(ソックウェル)」、ドイツから取り寄せたレディースシューズの「ara(アラ)」を始めとする住田さんが海外で見つけてきた素敵なモノが取り揃えられています。
前編では、モノを”作る”のではなく”見つける”ことを選んだ理由、海外ブランド輸入代理店weskiii株式会社の取締役クリエイティブディレクターとしての仕事への思いやモノ選びのこだわり。
そして後編は、3人のを持つワーキングマザーとしてのお子様との向き合い方や、両立しながら楽しみ輝きつづける秘密を伺いました。
機能的なのに、こんなに可愛い
写真提供:Attipas
ころんと丸くて、小さくて。
シューズとソックスが一体になったような可愛いフォルムのこの靴は、カラフルに棚を彩り、デザインも豊富。日常使いのカジュアル用とお出かけ用に選んでもいいし、お気に入りのお洋服に合わせてもいい。
あれもこれもと手にとって、つい誰かに贈りたくなってしまう可愛さです。
この『Attipas(アティパス)』は、生後5か月~24カ月の歩き始めたばかりのよちよち歩きの赤ちゃんの足にぴったりのベビーシューズ。
▷男の子にも、女の子にも、ファッションに合わせてコーディネートも楽しめる10種類の多様なデザインと31色の多彩なカラーバリエーション。
赤ちゃんの足を科学的に研究し作られ、つま先の広い設計や片足約40gという軽量感など、高い機能性が特徴です。
住田さん:
「アティパスを履くことで、赤ちゃんは正しく歩くことができます。そうすると正しく筋肉がつくので、転ばなくなり怪我の予防にもなります。」
一般的な靴は硬いものが多いので、歩き始めの頃は靴をなかなか履いてくれないことも多いのが悩みですよね。しかし、このアティパスはソールがとても柔らかく、しなるほど。靴下のような感覚で履くことができ、裸足のように軽いので、驚くほどすんなり履いてくれる子が多いそうです。
▷パステルカラーのストライプ柄と足首のデザインがかわいいattibebe(価格:2,700円税込)可愛らしいファションに合わせやすい一足。
住田さん:
「子供の足って結構楕円形なんです。頭が大きいので、バランスを取ろうとしているんですが、先がとんがっている普通の大人みたいな靴だと、うまくバランスが取れないので、転んでしまう。アティパスなら足をしっかりバランスが取れるようにつま先や横が広く設計されています。
やっぱり軽さも重要で、大人にとってちょっとこれくらいいいだろうっていう重さって、子供にとっては重りみたいになっちゃうので、これくらい軽くて、ちゃんと曲がらなきゃいけないところで曲がることによって指がちゃんと使える機能的になっています。だから本来の指を使って歩くことができるんです。」
▷ひとつひとつに意味があって、想いがあることを教えてくれた住田さん。
住田さんとアティパスとの出会いは、仕事でインソール(靴の中敷)を探していた時のこと。そこで訪れた韓国の会社が、偶然アティパスを製造していて「こんなに機能的で、可愛いものがあるんだ!」と光るものを感じ、日本の正規販売代理店となりました。
住田さん:
「海外に行ってもっといろんなものを見てみたいと思ったのがきっかけでした。それで海外に行ってみるといいブランドがまだ日本にたくさん伝わってきていなくて、そういうことをできたらいいなぁって」
それからはイタリア、ドイツ、アメリカなど世界中の大きな展示会を巡り、光るモノを見つけて、日本に持ってくる輸入代理店の事業を本格的に開始しました。
こだわりは”カワイイだけじゃない、機能がついてるモノ”を探す
▷丁寧にお話しくださり、商品への愛情が伝わってきます。キラキラしていて素敵な住田さん。
たくさんのモノが溢れている中から商品を見つけ出す過程で、住田さんのこだわりを伺ってみました。
住田さん:
「直感をすごく大事にしています。ひとつひとつ見ても、いいブランドってやっぱり光っているんです。人気があるないではなくて、光ってるものを感じて、商品を決めます。
そして“かわいいだけ、じゃないモノ。プラス機能がついてるモノ”を探すようにしています。アティパスをはじめ、扱っている商品(SockwellやCHILDHOMEなど)はすべてかわいいだけじゃなくて、機能もあります。」
▷ベルギーで生まれたベビーブランド『CHILDHOME(チャイルドホーム)』。家族想いの夫婦が自分たちの育児を通して、お洒落で良質なものを作り続けている。
店内には、つい「可愛いー♩」と駆け寄りたくなる商品ばかり。しかし、どれもデザイン性だけでなく高い機能性や作り手の想いが込められています。
「こんなのやってみようかな、と思ったらやっちゃいたいタイプなんです」と笑顔で話す住田さん。
ここからは、海外ブランドを取り扱うようになった経緯を伺っていきます。
海外と結びつけてくれたのは「一緒に行かない?」の一言
兵庫県神戸で生まれた住田さんは、美術系の大学に進学。最初は、”作り手”という立場でした。
住田さん:
「学生時代は陶芸のオブジェを作ったり、作家活動もしていました。でも、何ヶ月もこもって作品を作っても、展示するのは1~2週間。その時に「私はお話することがすごく好きだし、人が好きなので、これ向いてない」と思って。笑
でも、自分の中で”こういうものがいい”という感覚はあるから、そういうのを手に入れて、皆にこれいいんだよ、こういうところがいいんだよって、お伝えしたいなっていうのが自分の中でありました。」
結果的に海外と住田さんを結びつけてくれたのは、当時お付き合いしていた、現在の旦那さんの一言でした。
住田さん:
「(旦那さんとは)学生の時に知り合って、私は留学する予定はなかったんです。でも、付き合っ て半年ほど経った頃、すでに彼は留学を決めていて、「そうなんだ~、そこでもうお別れかな」と思ってたところに、「一緒に行かない?」と誘われて。
そこで私も単純だから「えー?いいの?じゃあ行っていい?」みたいな。それから1年間二人して頑張ってバイトしてお金を貯めて、留学したんです。」
留学中は、バックパッカーのように大きなリュックを背負って、二人でヨーロッパ諸国50都市ほど回っていました。この留学経験が、住田さんのお仕事の原点であり、きっかけになったそうです。
▷一年間滞在したロンドンの景色。ヨーロッパの歴史的建造物や美術品、一方でトレンドファッションで街を歩く人々を見て、今と昔が融合する世界観に面白さを感じたと教えてくれました。
そのきっかけを作ってくれたのが旦那さまというのだから、本当に素敵なパートナーなんだなあと心が温かくなりました。
海外で原石を見つけて、日本で輝くようにしていくことが私の仕事
留学から帰国して2年後、26歳の時に結婚した住田さん。旦那さんは家業を継ぐ3代目となり、そのお手伝いをしていました。事業内容は、コンフォートシューズの小売店。コンフォートシューズといえば、足の健康を考慮して作られた履き心地の良い靴のこと。
そんな中、ある出来事が起こりました。
住田さん:
「母が膝を痛めて、お皿が割れて(膝蓋骨骨折)、ということがあって。その時に私は、なんでそうなったのか、原因はなんなんだろうって考えて調べていったんです。結果的に、足に合ってない靴を履くから、だんだんO脚になって、お皿が割れて、腰痛がくる、という原因がわかっていきました。」
住田さん:
「じゃあ、”足にいい靴ってどんなものなんだろう”って思った時に、足と靴が一体になる、かかとがしっかりすることによって前に滑りにくくなるからアーチも上がってより安定する。みたいな靴ってないのかなって探してみたら、日本にあったんですよ。でも、履き心地は良くても、全然かわいくなかったんです。」
靴は女性にとって特別なアイテムの一つ。
お気に入りの靴を履いて出かけると心も弾んで、明るい気持ちになりますよね。しかし、当時国内では、住田さんの求める機能性とデザイン性を兼ね備えたものに出会うことができませんでした。
▷機能性がありながら、オシャレも追求するドイツブランドの『ara(アラ)』の靴。
住田さん:
「母も、当時は全然かわいくない靴を履いてたんですけど、だんだん歩けるようになってきたら”もっとオシャレがしたい”って言うようになって、私もその気持ちに共感して、ヨーロッパに行って靴選びを始めるようになったんです。
そこで、イタリアで行われている最大級の展示会『MICAM』に出向き、70年ほど歴史のあるドイツのシューズブランド『ara(アラ)』に出会い代理店になりました。」
▷高品質なウールを使用したmade in アメリカの靴下『Sockwell(ソックウェル)』。着圧効果や様々な機能とデザインバリエーションが魅力。
住田さん:
「海外にはまだまだ日本にはないアイテムがあるんだって実感しました。それからは、その原石である商品を海外で見つけ出して、日本に広める仕事をしたいなと思って、私たち夫婦とステキな仲間と3人で新しい会社(weskiii株式会社)を立ち上げました。」
暮らしを豊かにする、モノとコトを発信できたらいいな
やりたいと思ったらやってみる。
そんなエネルギー溢れる住田さんに、これからやりたいことを聞いてみました。
住田さん:
「最近は素敵な先生をお招きして、英語リトミックや漢方茶、アロマなどのワークショップも開催しています。
こういうのやってみたいって思ったら止まらなくて。そういう時にやっぱり出会いがたくさんあって…」
▷左:アロマワックスバーを製作している様子。右:漢方茶のワークショップでの様子。
住田さん:
「これからweskiiiとして、”暮らしを豊かにする”というテーマで、モノだけじゃなくてコト発信もできたらいいな、という想いがあります。
大人になるとなかなか自分から学びの世界に行くのが難しいので、ちょっと知りたいなっていうことを、ちょっと知りたいなと思っている人たちの仲間で一緒に学べたら、より自分もスキルアップするし、気持ち的に豊かな暮らしができるんじゃないかな?と思っていて。
子供にとっても、ママがいろんな学びをしてたりすると、すごく影響があることだと思っています。」
後編では、3人の子を持つワーキングマザーとしての一日のスケジュールやお子様との向き合い方、忙しい中でも両立しながら楽しみ、輝きつづける秘密を伺いました。
P r o f i l e
住田 由香さん
weskiii 株式会社取締役クリエイティブディレクター。1981 年、神戸生まれ。美術系の学校を卒業後ロンドンに留学。ヨーロッパ諸国を旅行し、海外の面白さを知る。帰国後2007 年結婚を機に広島へ移住。小売業を営む嫁ぎ先の家業を手伝いながら、もっと女性が嬉しくなるアイテムを扱いたいという思いより、2013 年頃よりヨーロッパでの買い付けがスタート。その後、2015 年に「Santnana(サントナーナ)」という靴の専門店を三軒茶屋にオープン。ロゴや内装などブランディングを始め、海外で代理店契約など、新会社への道筋を作る。2017 年より拠点を東京へ移し、2018 年秋、海外ブランド輸入代理店weskiii 株式会社を設立。『暮らしを豊かに』をテーマに、海外から素敵な商品を見つけ出すバイヤーとして世界中を飛び回っている。また、3 人の子育てをするワーキングマザーでもある。
公式HP:weskiii