結婚や出産と同時に、自分のキャリアについて見直したという方も多いのではないでしょうか。人生100年時代。多様な働き方だけでなく、生涯を通して学び続けていく姿勢も必要だと言われています。
しかし子供の頃と違い、大人の学びは制限も選択肢も多いのが特徴です。「いつ」「何を」「どこで」「誰と」学ぶか。そして「なぜ」学ぶのか?「どう」学ぶのか?など、考え始めるとなかなか前に進めません。
そこで、今回は大人(とくに子育て世代)の学びなおしについて、どんな選択肢があり、それぞれどのようなメリットがあるのかについてまとめてみます。さらに、後編では今まさに「学びたい」熱が上昇中の筆者の体験(まだまだ迷走中)を紹介しながら、大人の学びなおしのリアルに迫っていきたいと思います。
最近注目されている「学びなおし」とは?
「学びなおし」はこれまでもさまざまな意味で使われてきた言葉ですが、どちらかと言うと「子供の頃中途半端に終わらせてしまった勉学に再度取り組む」ための高卒・大卒資格の取得や、実践力を身につけ就職につなげるための「職業訓練」などの意味合いで使われてきた印象があります。これらに共通しているのは、人生の中で一定の間だけ「学びなおし」を行い、その期間が終われば「学びなおし」は終了するという考え方です。
それに対し、最近注目されているのは「リカレント教育」です。「リカレント教育」は、生涯にわたり仕事と学びのサイクルを繰り返すことによって、キャリアアップだけを目的とせず、ライフステージの変化や多様なライフスタイルに応じた生き方を追求していくという考え方です。一つの「学びなおし」の期間が終わっても、また別の時期に新しい学びを追求することもできますし、働くことと学ぶことを同時進行させる場合もあります。
こんなにたくさんある学び方の種類
学びなおしと言っても、その種類も方法もさまざま。今回は方法ごとにざっくりと4つのカテゴリーに分け、それぞれのメリットについて簡単にまとめてみました。
1. 講座や勉強会
「学びたい」と思い立ったときに、比較的すぐ参加することができるのが、個人や法人が主催する講座や勉強会です。一回限りのものだけでなく複数回がシリーズになった講座もありますが、期間は長くても数か月程度。短期間で一つのテーマについて実践的な観点で学ぶという内容のものが多いです。
また、対面での開催だけでなく、通信やオンラインなど開催タイプも選べる場合があり、仕事や家事、育児と両立しやすいという点もメリットです。最近では、オンライン開催のセミナーのアーカイブ動画が期間限定で公開されることもあり、ますます受講しやすくなってきたと感じます。
勉強会についても、オンラインサロンなどのように参加者がそれぞれ遠隔地から参加できるスタイルが定着してきました。
会社によっては、社内研修の一環として定期的に講座を開講したり、外部のセミナーや勉強会へ積極的に希望者を受講させたりするところもあります。
選択肢が増えた半面、注意しなければいけないこともあります。魅力的な講座がたくさん開催されるからと言って「あれもこれも受けたい」と参加していると、あっという間にセミナー貧乏になってしまいます!講座の内容や質をしっかりと見極めた上で参加することをおすすめします。
2. 資格
学びの先に特定の職業がある場合は、資格取得を目指すということを考える方も多いのではないでしょうか。また、職業に結びつかなくても、一つの分野についてじっくりと専門的に学びたい場合、資格取得は一つのゴールになります。
資格は一般的に国家資格や公的資格、民間資格に分けられますが、その取得方法や難易度、種類や性質、実用性などは、それぞれ個別の資格ごとに異なります。職業によっては、資格取得によって待遇が良くなる場合もありますが、直接キャリアに結びつかない資格もあります。
資格を取得する際には、自分が学ぶ理由をしっかりと考えた上で、目的に応じた資格を選びチャレンジすることが大切です。
3. 本
1や2と比べると金銭面のハードルが低く、図書館を利用すればほぼゼロ円で学びを続けることができるというメリットがある独学。自分が興味のある分野の専門書をたくさん読むことによって、膨大な知識を身につけることが可能です。
一方で、指導してくれる人も質問する相手もいないため、疑問がそのままになってしまったり、難しいと感じた部分はなかなか勉強が進められなかったりというデメリットもあります。自分のペースで学びを続けられる点ではメリットがありますが、孤独になりがちで、継続するのが難しいと感じる方もいるかもしれません。
4. 大学・大学院
一つの分野について体系的に学びたいと思ったら、やはり大学や大学院にかなう場所はありません。とくに、大学院はその分野における最先端の研究を行う教育機関と言えるので、ハイレベルな学びを得られるのが特徴です。論文を書いたりディスカッションしたりしながら主体的に学べるという側面もあります。アカデミックな環境に身を置くことで、学びに没頭できるというのは大学や大学院の大きなメリットです。
しかし、多くの社会人が大学や大学院を学びなおしの場として選びません。その理由は、金銭的にも時間的にも負担が大きすぎるからです。一日の大半を授業や勉強、研究などに費やさなければいけず、仕事や育児と両立するのが難しいため、仕事を休んだり辞めたりする必要があり、そうなると生活費や学費をどう捻出するかという問題に直面します。
しかし、よく調べてみると、1年間で修了できるプログラムや通信制大学、完全オンラインの過程など、社会人に適した学び方を提供している学校もあります。また、大学独自の経済支援制度や、国が助成する教育訓練給付制度などを活用できる場合もあります(指定の教育訓練のみが対象となります)。大学や大学院を卒業することを目的とせず、科目ごとに受講が可能な科目履修という制度を設けている学校もあります。
人生に学びをプラスして、自分をアップデートしてみよう
こうして学びの選択肢を見てみると、テクノロジーの進歩のおかげで、手軽に学べる機会が実は多いことがわかります。そうは言っても、やはりお金も時間もかかること。簡単には「やってみよう」とチャレンジできませんよね。
後編では、今まさに「学びたい」熱が高まっている筆者の「学びなおし」に関連する体験談をご紹介します。まだまだ迷走中で納得のできる形で学べていないというのが現状ですが、筆者の経験を通じ、子育て世代の学びなおしのリアルについて「こんな例もあるのか」と感じていただければ幸いです。
後編は近日UP予定です。お楽しみに!