今話題の「プログラミング教育」って何?
最近「プログラミング教育」という言葉をよく聞きますよね。子供にさせたい習い事として「プログラミング教室」がトップにランクインするなど、子供やその保護者の間で今じわじわと話題になっています。
※参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000013831.html
「プログラミング教育」は2020年度から小学校で全面的に導入される予定です。日常生活のさまざまな場面でコンピューターが活用されるようになり、コンピューターを理解したり、主体的に使ったりする能力が、今後ますます必要になると考えられているからです。先行的にプログラミング教育の実践に取り組む学校も増えてきています。
※参考:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1403162.htm
親である私たちが子供のころは無かった「プログラミング教育必修化」に、不安を感じている保護者の方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、小学校における「プログラミング教育」が具体的にどのような学習内容なのか、文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引」を参考にわかりやすく解説していきたいと思います。
小学校教育における「プログラミング」とは?
「プログラミング」という言葉から、複雑なプログラミング言語をイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、小学校での「プログラミング教育」のねらいは、こういった技術的な言語の取得ではありません。
「小学校プログラミング教育の手引」では「コンピューターは人が命令を与えることによって動作します。端的に言えば、この命令が『プログラム』であり、命令を与えることが『プログラミング』です。」と説明されています。
※参考:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/11/06/1403162_02_1.pdf
2020年度から小学校教育に導入される「プログラミング教育」のねらいは、おもに「プログラミング的思考」を育み、情報活用能力を育成することです。「プログラミング的思考」とは、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせはどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」のことです。
※参考:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/11/06/1403162_02_1.pdf
プログラミング教育の導入によって、各教科での学びをさらに深めることも、ねらいの一つとされています。
「プログラミング」は教科ではありません
「プログラミング教育」が導入されると言われていますが、「プログラミング」が「国語」や「算数」などと同じように一つの教科として扱われるわけではありません。「プログラミング教育」は、各教科やクラブ活動を通して導入され、子供たちは「プログラミング」について多面的に学んでいくことが予想されます。
実際にはこんな授業が実施されています
それでは具体的にはどのような授業がおこなわれているのでしょうか?現在すでに小学生向けにプログラミング教育を実践している学校での事例をご紹介します。
1. 正多角形をプログラムを使ってかこう
※参考:https://miraino-manabi.jp/content/111
こちらは、杉並区立西田小学校の5年生への算数の授業の一環としておこなわれた事例です。
正三角形や正方形などの正多角形は、全ての辺の長さが等しく、また全ての角の大きさが等しい図形のことを言います。この授業での学習は、まずそういった正多角形の性質について理解した上で、どのようなプログラムを組めばコンピューターに正多角形を描かせることができるのかについて学んでいきます。
この授業内で使用されているのはScratch(スクラッチ)というビジュアル言語のツールです。
2. くりかえしをつかってリズムをつくろう
※参考:https://miraino-manabi.jp/content/265
こちらは、大阪市立茨田東小学校の2年生への音楽の授業の一環としておこなわれた事例です。
文部省唱歌である「村まつり」の歌を題材に、リズムの種類や反復性などについて学び、それらをコンピューターで再現する仕組みを考える授業です。プログラミングされたリズムをコンピューター上で再生すれば「もっとこうすればさらに面白いリズムになるのではないか」というようなアイデアが湧くこともあり、子供たちは試行錯誤を重ねながら、楽しんで表現活動をおこなうことができるのもこの授業の特徴です。
こちらの授業でもビジュアル言語ツールScratch(スクラッチ)が使われています。
ちなみに、Scratch(スクラッチ)というのは、マサチューセッツ工科大学のメディアラボが無償で公開しているビジュアルプログラミング言語のことです。対象年齢は未就学児からとなっており、小さな子供でも理解しやすいツールです。こちらのScratch公式サイトでは、Scratchの使い方について詳しく読んだり、実際にプロジェクトを作ったりすることができます。
「小学校を中心としたプログラミング教育ポータルサイト」では、ほかにもすでに実施されているさまざまなプログラミング教育の事例が紹介されています。
https://miraino-manabi.jp/example/a
実は身近にある「プログラミング教育」へのきっかけ
私がプログラミング教育について気になりだしたのは、先月参加した「東京おもちゃショー2019」がきっかけです。会場内のたくさんのハイテク玩具の中でも、「プログラミング」をテーマにした玩具が特に目立っていたように感じました。「東京おもちゃショー」の記事内で紹介した「学研のニューブロック プログラミング」をはじめ、「アリロ」「ポケモンパッド ピカッとアカデミー」「ころがスイッチ ドラえもんシリーズ」など、どれもプログラミングの基礎が学べたり、プログラミング的思考を育むことができたりする玩具でした。なかには、未就学児から遊べる玩具もありました。
また小学生の子を持つママ友から「プログラミング教室に通わせている」という話も聞きました。プログラミングという言葉から、難しいプログラミング言語を思い浮かべてしまう私は、「難しくないの?」とつい質問してしまいましたが、友人曰く、その子にとっては勉強というよりゲーム感覚なんだとか。生まれたときからスマホやパソコンなどの電子機器に囲まれて育ってきた世代だからこそ、「難しい」というような先入観無しにプログラミングの世界に入っていくことができるのかもしれません。
調べてみたら子供たちに人気の玩具「レゴ」を使ったプログラミング教室もありました。
まとめ
2020年度から小学校で全面的に導入される「プログラミング教育」。複雑なプログラミング言語を思い浮かべてしまうと、「子供が授業について行けるのだろうか?」と不安になったり「家庭でどうやってサポートすれば良いのだろうか?」と心配になったりしてしまいますよね。しかし、実際の「プログラミング教育」の事例を見てみると、子供でも分かりやすいツールを使い、多面的なアプローチがおこなわれていることが分かります。