子どもが1歳を過ぎ自由に歩き回るころになると、「それはダメ!」「静かにしなさい!」など、子どもを叱る機会も増えてきます。
つい感情的になってしまったり、子どもに気持ちが伝わらなかったりと、叱り方に悩むパパ・ママも少なくありません。
人を叱ることは、とても難しいものです。そこで今回は、子どもを叱るときのポイントを筆者の体験も踏まえて解説します。
そもそも「叱る」ってどういうこと?
子どもを育てるとき、「『叱る』のは良いけれど『怒る』のはダメ」とよく言われます。
一般的に、「叱る」と「怒る」には次のような違いがあるようです。
・叱る:相手により良い方法を指導すること
・怒る:自分の感情を相手にぶつけること
子どもが間違った行動をとったとき、親はつい腹が立って、「叱る」つもりが「怒って」しまいがちです。
親が怒った状態で子どもに何かを言っても、子どもには恐怖心だけが残り、肝心の「なぜ叱られたのか」という理由を理解できなくなります。
子どもを「叱る」ときは、落ち着いて子どもに指導ができているのか、ただ自分のイライラをぶつけるだけになっていないか、注意する必要があります。
子供に伝わるための”正しい叱り方”とは?
叱るということは、相手に理解してもらうために伝える必要があります。子供の年齢に合わせた伝え方や、気をつけるべきポイントをご紹介します。
正しい叱り方をすることで、お互いに気持ちよく心を通わせることができます。
年齢別の叱り方
子どもを叱るときは、相手の理解力に合わせて叱り方を変えるのがおすすめです。
1~2歳の場合
2歳くらいまでの子どもの理解力は未熟なもの。
長々と説教をしても、子どもは親の意図がわからず、同じ過ちを繰り返してしまうこともあります。
この時期は、「お友達のオモチャを取らないで」など、今するべきことだけをシンプルに伝えるのが良いでしょう。
3~4歳の場合
個人差はありますが、幼稚園に上がるころになると、なぜ自分は叱られているのかを少しずつ理解できるようになります。
そのため子どもを叱るときは、「お友達が悲しい気持ちになるから、オモチャを勝手に取ってはダメ」など、叱る理由を必ず添えるようにしましょう。
5~6歳の場合
5~6歳ごろになったら、一方的に親が叱るのではなく、対話形式で子どもに考えさせてみましょう。
「あのオモチャで遊びたいのね。でも今はお友達が遊んでいるよ。あなたに勝手にオモチャを取られたら、お友達はどう思うかな?」
最初は泣いたりかんしゃくを起こしたりしてしまうかもしれませんが、他者の気持ちに配慮できる子になるように、根気よく続けることが大切です。
また、同時に「どうすればうまくいくか」を考えさせるのも効果的です。
解決策をゼロから考えるのが難しそうであれば、「一緒に遊ぼうって聞いてみるのはどう?」「遊び終わったら貸してねって言ってみたら?」など、様子を見守りながらアドバイスをしてあげるのも良いでしょう。
叱るときに心がける4つのポイント
パパママが怒りをぶつけず、効果的に「叱る」には、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。
3歳と8歳の娘を育てている筆者は、次のようなことを心がけています。
(1)叱るときは冷静に
親だって人間ですから、子どもの態度にイライラしたり腹が立ったりするのは自然なことです。
でも前述したとおり、「叱る」のは「相手により良い方法を指導する」ことが目的です。「怒りたい」という気持ちが先走ってしまっては、きちんと「叱る」ことができません。
筆者は子どもを叱るとき、まず1回深呼吸するようにしています。
そして、子どもの目を見ながら手を握り、言葉を選びながら、ゆっくり話をします。
「お母さんは心配」「お父さんは困るなぁ」といった、いわゆる「アイメッセージ」を使って、親の心が乱されていることを伝えても良いでしょう。
大事なのは怒りで威圧的にならないこと。子どもが怯えたり、パニックに陥ったりしないよう、「叱る」ときは怒りを上手にコントロールできると良いですね。
筆者は、どうしてもイライラが制御できないときは、子どもの安全を確かめた上で自分だけ別室に行き、気持ちが落ち着いてから戻って、子どもを叱ることもあります。
また、怒りにまかせて子どもを責めてしまったと感じたときは、できるだけ早めに「怒ってごめんなさい」と子どもに謝るようにしていますよ。
(2)今の行為だけを短い言葉で指摘する
腹が立っていると、つい余計なひとことまで投げかけてしまいがちです。
次のようなことは、望ましい叱り方とは言えません。
×NGワード
・「前もこんなことをした」など、今叱っていること以外のことまで言及する
・「だからあなたはダメなのよ」など、人格を否定するようなことまで言う
・「お姉ちゃんはできるのに」など、他人と比較する
筆者は、「今やった行為のことだけ口にする」ことを意識しています。
たとえば、子どもがテレビに夢中になってお茶をこぼしてしまったら、「よそ見をしながらお茶を入れるとこぼれてしまうよ。しっかり手元を見ようね」と声をかけます。
「この前も同じことを注意したのに!」と言い出したい気持ちをこらえるのは大変ですが、余計なことをうっかり口にしないために、叱る内容は短くシンプルにすることを心がけています。
(3)改善して欲しい点はできるだけ具体的に伝える
子どもに改善して欲しいことがあるなら、できるだけ具体的に伝える必要があります。
「ちゃんと洗いなさい」「しっかり片づけなさい」など、あいまいな言葉を多用していませんか?
「ちゃんと」や「しっかり」といったあいまい語は、経験値の少ない子どもにとっては、具体的に何をどうすれば良いのかがわかりにくい言葉です。
「石けんを泡立てて、てのひらも裏側も10回ずつゴシゴシしようね」「床に広げているオモチャを全部ケースの中にしまってね」など、少々手間はかかりますが、子どもがゴールをイメージしやすいように、具体的に伝えてあげましょう。
(4)フォローを忘れない
子どもは皆とても個性豊かです。少々強く怒られても気にしない子もいれば、ちょっとした指摘でも深く傷ついてしまうタイプの子もいます。
全ての子どもにあてはまる「正しい叱り方」はありません。だからこそ、叱っているときも、そのあとも、注意深く子どもを観察する必要があります。
叱っているときは、子どもが必要以上に傷ついていないかを確認しましょう。
子どもが思いつめ過ぎていると感じたときは、ぎゅっと抱きしめて、「〇〇をしないで欲しいだけだよ、大好きだよ」と伝えてあげてください。
子どもが、なぜ自分が叱られたのかを理解し、次は気をつけると納得できたようなら、「わかってくれてうれしい」「お話を聞いてくれてありがとう」と、喜びや感謝を伝えるのも忘れずに。
また、叱ったあとに行動が改まったり、うまくできたりしたときには、大げさなくらいに褒めるのがおすすめです。
子どもは褒められるとうれしくなり、その行動を繰り返そうとします。「ダメな行動」を「良い行動」で上書きしていくので、叱る回数を少しずつ減らしていくことができますよ。
親も少しずつ「叱り上手」になっていこう!
わが家で心がけている「子どもを叱るポイント」を紹介しました。
筆者は、長女が4~5歳だったころ、怒りの気持ちのままに叱りつけることがよくありました。
その結果、長女の自尊心を傷つけてしまい、「私なんて何をやってもダメだもの」と後ろ向きな気持ちにさせてしまったのです。
筆者は今でも、ご紹介したポイントをいつも完璧にできるわけではありませんが、努めて心がけるようになってからは、長女は自信を取り戻し、必要以上に落ち込むことも減ったようです。
「叱る」ことはとても難しく、最初から完璧にできる親なんてきっといないはずです。
親も「子どもと一緒に成長しよう」という気持ちで、自分の子にベストな「叱り方」を試行錯誤し続けることが大切なのではないでしょうか。
子育てをしているとイライラしてしまう事もありますが。「叱り上手」なパパママを目指して、一緒にがんばりましょう!