警察庁の発表によると、2017年には13歳未満の子どもが連れ去られる略取誘拐事件が、全国で72件起きています。2018年の5月には、小学2年生の児童が下校時に連れ去られ殺害されるという痛ましい事件も起きました。
子どもを犯罪や被害から守るためには、どのような防犯対策をすればよいのでしょうか。
3歳と8歳の子どもがいる筆者の家庭で行っている対策をご紹介します。
子供に持たせる!基本の防犯グッズとは?
子どもの防犯グッズとして、登下校時には防犯ブザーを、それ以外の外出時にはスマートフォンを常に持たせるようにしています。
防犯ブザー
小学校入学時に配られることも増えてきた防犯ブザー。注意しておきたいのが、防犯ブザーの電池切れや故障です。
国民生活センターが行った調査(※)では、小学生が使用している防犯ブザーの半数以上に、「音が小さい」「電池が切れている」といった問題が起きていたそうです。
防犯ブザーを持たせただけで安心するのではなく、1か月に1回程度を目安に、定期的に動作確認をすることが安全対策に繋がります。
なお、防犯ブザーは不審者を見つけたら「鳴らしてすぐ逃げる」というのが正しい使い方です。
防犯ブザーを子どもに渡したら、「鳴らしたら全速力で安全な場所に向かって走りなさい」と教えておきましょう。
スマートフォン
登下校以外の外出時には、子どもが親に連絡をしたり、親がGPSで子どもの位置を確認できたりするように、スマートフォンを持たせています。
子ども向けの携帯電話には、基本的に位置確認ができる機能がそなわっています。通常のスマートフォンを渡す場合は、アプリなどを利用して子どもの居場所がわかるようにしておきましょう。
携帯電話やスマートフォンを首から下げて持っている子どもが多いのですが、公園で遊ぶときは邪魔になり、子どもがベンチなどに放置している姿もよく見られます。
リストバンドやポーチなどを活用して、子どもが肌身離さず持っていられるよう工夫してあげると良いですね。
キッズ携帯
docomo・au・softbankの各社から発売されているキッズ携帯は必要最低限の機能しかついておらず、初めて携帯を持つ小学校低学年のお子様に最適です。キャリアによって少し機能が違うようなので比較をしてみてくださいね。
※au マモリーノの場合
①登録している連絡先のみ発信・着信ができる。
②防犯ブザーが付いており、鳴らされた場合は保護者に居場所の地図が自動で送信されます。
③マモリーノ本体に、あらかじめ居場所を通知したい時間を設定しておくと、毎日決まった時間に居場所の地図が保護者のメールに送られてきます。
④マナーモードに設定されていても、3回電話をかければ、4回目に自動的にマナーモードが解除される機能が付いています。
⑤セコムとサービスを提携しており、防犯ブザーが鳴らされた場合セコムが駆けつけるというサービスを行なっています。(別途月額料金がかかります)
共働き世帯などですぐに駆けつけたれない場合は、セコムのサービスを登録しておくと安心かもしれませんね。
防犯対策は子供へどう伝える?正しい教え方とは
防犯の覚え言葉
「いかのおすし」という防犯標語をご存じですか?
「いかのおすし」は、
・いかない
・のらない
・おおきなこえをだす
・すぐにげる
・しらせる
という、防犯のために子どもが守るべき約束の頭文字を取ったものです。
長女は小学校の防犯教室で教わったそうですが、家でも機会があるごとに、「『いかのおすし』を守るようにしてね」と子どもに声をかけるようにしています。
自分の身を自分で守るための基本的なことがらなので、しっかり教えておきたいですね。
いざというときに逃げる場所を教える
幼児~小学生の活動範囲は、ある程度決まった場所に限定されることが多いもの。
子どもがよく行くエリアを一緒に歩いて回り、いざというとき逃げるべき場所をあらかじめ確認しておくと安心です。
逃げ込む場所として、子ども110番の家(※)やコンビニエンスストア、交番の位置を教えておくとよいでしょう。
住宅街で細い道が多いときは、人通りの多い幹線道路への出方も教えておくと安心です。
※警視庁 子ども110番の家:「子ども110番の家」は、子ども達が危険に遭遇したり、困りごとがあるとき安心して立ち寄れる民間協力の拠点です。
合言葉を決めておく
ほとんどの子どもが、「知らない人にはついていかないように」と教わります。でも、この「知らない人」の定義が、大人と子どもで違うことがよくあるのです。
子どもは数回公園で会っただけの大人でも、「知っている人」と判断することがあります。
認識のズレが起きないよう、わが家では家族だけの合言葉を決めて、「合言葉を答えられない人についていってはいけない」と教えています。
アメリカでは、実際に合言葉をたずねたことで犯罪者を撃退したというニュースもありました。
「警察です」「お母さんに君を連れてきてほしいと頼まれた」などのように断りにくい嘘をつかれると、子どもはうっかり手を取ってしまう可能性があります。
「一緒においでと言われたら、必ず合言葉を聞いてね」と繰り返し教えることで、知らない人についていく危険性を減らすことができるでしょう。
留守番をさせるときの防犯対策は?
子どもが自宅にいるときも、防犯対策は必要です。
小学1年生ごろから留守番を始める子が多いようですが、防犯のために、次のような約束事を事前に決めておきましょう。
・インターホンや電話には基本的に出ない
・困ったときはすぐに親に連絡をする
・キッチンやベランダなど、危ない場所には近づかない
自宅用の防犯アイテムとしては、テレビ付きインターホンや防犯カメラが代表的です。さらに今は、スマートフォンを使い、外出時でも室内の様子を確認できるウェブカメラなどもあります。必要に応じて活用しましょう。
また、子どもに鍵を持たせて留守番をさせるときは、
・鍵をなくさないようカバンなどにしっかりつけておくこと
・家に入るときは周囲にあやしい人がいないか確認すること
・家に入ったら扉をすぐ閉めて施錠すること
という3点を教えておきましょう。
事件に巻き込まれないために対策をしっかりと!
1番の防犯対策は、なるべく子どもを1人にはさせないことです。
商業施設など人が多い場所でも事件は起きます。特にトイレのような個室のある場所に近づくときは、必ず付き添うようにしたいですね。
また1人で出かけさせるときは、「どこに行って誰と会い、いつ帰ってくるのか」を家族で必ず共有しておきましょう。
危険なことなんてめったに起きないと過信せず、わが子が事件に巻き込まれないように、できる限りの防犯対策をしておきたいですね。