生後5か月頃から開始する離乳食。食べ物の美味しさや楽しさを親子で共有できる一方、食物アレルギーなどの心配も出てきます。中でも三大アレルゲンの一つである卵(鶏卵)については、アレルギー反応が怖くてなかなか食べさせられないと感じるパパやママも多いのではないでしょうか。
今回は、2019年3月に約10年ぶりに改訂された「授乳・離乳の支援ガイド」を参考に、離乳食の開始時期とアレルギーの関係性について解説します。また、赤ちゃんに卵を食べさせても良い時期はいつなのか、そしてその際の注意点についてもご紹介します。
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
離乳食を遅らせても食物アレルギーの予防効果はない!?
2019年改定版の「授乳・離乳の支援ガイド」には、「食物アレルギーの発症を心配して、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はないことから、生後5~6か月頃から離乳を始めるように情報提供を行う。」と明記されています。
さらに、「食物アレルギーの発症リスクに影響する因子として、遺伝的素因、皮膚バリア機能の低下、秋冬生まれ、特定の食物の摂取開始時期の遅れが指摘されている。」とも記載されています。
つまり、食物アレルギー反応を恐れて特定の食物の摂取開始を遅らせると、予防効果が認められないどころか、逆に発症リスクを上げてしまう可能性もあるということになります。
アレルゲンだからといって卵の摂取時期をやみくもに遅らせるのではなく、推奨されている時期に離乳食を開始するのが大切だということがわかりますよね。
赤ちゃんに卵を与えるのは、つぶしがゆや野菜に慣れてきた頃から
それでは実際に卵を赤ちゃんに与えて良いのは生後何か月頃なのでしょうか。
「授乳・離乳の支援ガイド」によると、離乳初期(生後5~6か月頃)の欄に、「つぶしがゆから始める。すりつぶした野菜等も試してみる。慣れてきたら豆腐・白身魚・卵黄等を試してみる」との記載があります。
「生後〇か月になったら卵が食べられる」というはっきりとした線引きではありませんが、離乳初期のつぶしがゆや野菜に慣れてきた頃から卵黄を与えて良いということがわかりますね。
離乳が進むにつれ、卵の摂取量も多くなっていき、離乳中期(生後7~8か月頃)には卵黄1個~全卵1/3個、さらに離乳後期(生後9~11か月頃)には全卵1/2個が1回あたりの摂取目安量となっています。
ただし、ここで何点か注意したい離乳食の進め方のポイントがあります。以下の注意点も「授乳・離乳の支援ガイド」から引用しています。
Contents 離乳食の進め方のポイント
開始時期はあくまでも目安。赤ちゃんの食欲や成長、発達の状況に応じて調整する
子供の様子をみながら1日1回1さじずつ始める
なめらかにすりつぶした状態で与える
衛生面に十分配慮し、食べやすく調理したものを与える
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卵黄を与えても良い時期だからといって、いきなり大量の卵を食べさせたり、しっかりと調理されていないものを与えたりということは危険です。
卵アレルギーの疑いがある場合の対応は?
上記のガイドに従って卵黄や全卵を赤ちゃんに食べさせた後、赤ちゃんに湿疹などの症状が現れ、食物アレルギーを疑う場合、どのように対応すればよいのでしょうか?
2019年改定版の「授乳・離乳の支援ガイド」には、この点についても以下のように書かれています。
「子どもに湿疹がある場合や既に食物アレルギーの診断がされている場合、または離乳開始後に発症した場合は、基本的には原因食物以外の摂取を遅らせる必要はないが、自己判断で対応することで状態が悪化する可能性も想定されるため、必ず医師の指示に基づいて行うよう情報提供を行うこと。」
引用元:授乳・離乳の支援ガイド
つまり、赤ちゃんが卵アレルギーかもしれないと不安になった場合は、自己判断せず、かならず医療機関を受診し、医師と相談しながら離乳食を進めるのが良いということになります。
ママライターの経験談
我が家の長男は完全母乳で育ったので、生後4か月まではのんびりと母乳だけで育てていました。しかし離乳食が開始すると生活は一変。食品や量、調理法、回数など、考えなければいけないことが山ほどある上に、次々とステップアップしていくので、母である私は目が回るほど忙しい思いをした記憶があります。
当時は自治体から配布された子育てガイドブックをまるで参考書のように熟読し、ヒマがあればインターネットで離乳食レシピを読み漁っていました。
ちょうど長男が生後6か月から保育園に入園が決まっていたこともあり、我が家では長男が生後5か月になった日から離乳食を開始。食欲がある方だったので、割とスムーズに進みました。おもゆからおかゆ、そして野菜がゆと徐々に離乳食をすすめ、生後6か月頃から卵黄も与えていました。
食物アレルギーについては、やはり気になっていたので、卵黄や乳製品は小さじスプーン1杯から。最初の何日間はそれを徹底しました。また、気になる食品を与えるのは、かかりつけの小児科が営業している日の午前中と決めていました。万が一何か心配な症状が出た場合でも、すぐに小児科の先生に診てもらえると思ったからです。
卵を使った離乳食のおすすめレシピ
離乳食の初期から後期にかけての、卵を使ったおすすめレシピをご紹介します。
野菜がゆのミモザ風(離乳食初期から)
ブロッコリーや人参などの彩のよい野菜(しっかりと茹でたもの)とおかゆをすりつぶし、カラフルな野菜がゆを作ります。その上に、固ゆでした卵黄をパラパラと散らします。
かき卵汁(離乳食中期)
出汁を加熱し、よくといた卵黄(卵白も食べられる場合は全卵)を流し入れ、よく混ぜます。卵にはしっかりと火を通しましょう。水溶き片栗粉でとろみをつけると食べやすいです。おかゆや柔らかく茹でてつぶした野菜を加えておじや風にするなどアレンジもできます。
茶碗蒸し(離乳食中期、卵白が食べられるようになってから)
よくといた卵に出汁を加え、蒸します。仕上げに柔らかく茹でた野菜やすりつぶした白身魚などをトッピングしても。
フレンチトースト(離乳食後期)
よくといた卵と牛乳にパンを浸し、フライパンで焼きます。パンはスティック状にカットしておくと、食べやすいのでおすすめ。牛乳の甘さがあるので砂糖は不要。煮リンゴをトッピングすると、さらに美味しくいただけます。
出汁巻き卵(離乳食後期)
よくといた卵に出汁を加え、卵焼きにします。出汁が入るとふんわりとジューシーな卵焼きになり、食べやすいです。柔らかく茹でて小さく切った野菜を加えても美味しいです。
《赤ちゃん卵いつからのまとめ》
三大アレルゲンの一つで、食物アレルギーが心配な卵。しかし、不安だからと離乳食の開始時期を遅らせても予防効果はありません。生後5か月頃から離乳食を開始し、つぶしがゆやすりつぶした野菜などに慣れてきたら、ぜひ固ゆでした卵黄も試してみましょう。ただし、最初は1日1回1さじから。しっかりと調理したものを与えましょう。子供の様子を見ながら無理なく進めてみると良いですね。
食物アレルギーの疑いがある時は、アレルギー検査には何種類か検査方法があるみたいなので、かかりつけ医に相談してみましょう。