金銭感覚を身につけるには、自分でお金を使う経験が必要不可欠。そのため、小さいうちからお小遣い制を導入して子供の金銭的な自立を促したいと考えているご家庭も多いのではないでしょうか。一方で、子供がまだ小さいうちは「お金を自分で管理する」という事が難しいのも事実。子供は「欲しい!」と思うものがあると、後先を考えずにお金を使ってしまいます。親としては「無駄遣いさせるためのお小遣いではないのに」と苦々しく思う事もありますよね。

 

我が家の二人の子供たちも例にもれず後者のタイプ。特にスイーツが大好きな長男は、買い物に行く度に「僕もお財布持っていくね」と自分のお財布を引っ張り出してきて、ケーキやチョコレートなどを好き勝手に買いたがります。長男はまだ年中なので、お金の計算も出来ません。お年玉の一部を本人が自由に使えるようにとの考えで渡したお財布でしたが、我が家ではまだ早かったかなとすでに後悔しています。

 

未就学児を育てる私にとって、お小遣いは未知のテーマ。今回は実態調査結果や人気テレビ番組の放送内容などを元に、子供のお小遣いの現状を把握し、お小遣いをどう渡し、どう使えば親子がともに納得できるのか、考えていきたいと思います。

 

お小遣いの金額は決めている?それとも決めていない?

 

お小遣いについて考える時にまず湧いてくるのが「いつから渡す?」という疑問。小学校入学と同時に?それとももっと後?何歳くらいから渡すと効果的なのでしょうか。

 

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同で行った研究「子どもの生活と学びに関する親子調査2015(2015年7~8月実施)の調査結果を元に、現代の子供のお小遣い事情について調べてみました。

 

お小遣いと言うと毎月決まった金額が支給される制度という印象がありますが、一言でお小遣いと言っても、その与え方は様々。まずは、定額制を導入している家庭がどの程度なのか調べてみました。(子供に与えるお小遣いの金額を決めているかどうか)

 

 

小学1年生から定額制は15%未満

上記の調査によると、なんと小学1年生からお小遣い制(定額)を導入している家庭は全体の15%にも満たない事が分かります。

 

小学校入学を機に毎月お小遣いを渡そうかなとぼんやり考えていた我が家。この実態調査の結果は意外でした。しかし、よく考えたら子供たちが計算を学ぶのは小学校に入学してから。せめて足し算と引き算がしっかり分かるようになってからお金を渡すのが懸命ですね。

 

 

小学6年生でも41.8%と半数以下

学年が上がるにつれてその割合も少しずつ増えていきますが、小学6年生でもその割合は41.8%と半分以下。

 

 

中学生は半数を超え、高校生は6割超えに

中学生になると、お小遣いの金額を決めているという家庭の割合は半数を超え、さらに高校生では6割以上が「決めている」と回答しています。

 

 

進級するタイミングが定額制導入のきっかけに

特に注目したいのは、小学2年生から3年生へ進級する年と、小学校5年生から6年生に進級する年、そして中学校に入学する年の3つのポイント。

自分でお小遣いをやりくりできるようにするには、進級が大きなきっかけになっているという点は腑に落ちます。

これらの年には、全体に占めるお小遣い制(定額)の割合がぐんと上がっている事がわかります。ここから分かるのは、小学校3年生、6年生、そして中学1年生を機に定額のお小遣い制を導入する家庭が多いという事です。

 

 

お小遣いはいくら?年齢別に見るお小遣いの平均金額とは

 

お小遣いを渡す時に頭を悩ませるもう一つの疑問が「いくら渡すのが妥当なのか」という点。金額が少ないと必要なものを買うことが出来ずに子供に辛い思いをさせてしまうかもしれません。しかし多すぎると無駄遣いに繋がる可能性も考えられます。

 

先ほどの実態調査の結果を見ると、以下のような相場感が分かります。

 

学年別にみると、小学1年生は、お小遣いをもらっていない子どもが半数以上です。また、小学5年生では0円~500円未満が約半数ですが、小学6年生になると500円〜1000円未満が約4割になります。

 

さらに、平均月額をみると、小学生から中学生、中学生から高校生に変わる段階で金額が大幅にアップしていることがわかります。これは、子どもが日常的に必要とするものが、学校段階が上がるにつれて増えるからだと思われます。

出典:ベネッセ

 

具体的な平均値ですが、お小遣い制を導入する転機となる学年について見てみると、小学3年生で357円、6年生で751円、中学1年生は1353円という結果。これは、好きな文房具や本を買ったり、友達のためにちょっとしたプレゼントを買ったりということが出来る程度の金額です。一方、高校1年生では4096円が平均金額でした。高校生になると子供が自由に使う事の出来る金額もかなり高額になる事が分かりますよね。

 

 

自分が昔もらっていた金額も目安に

お小遣いをいくら渡すか考える時に、自分の基準となるのは自分が昔もらっていた金額ではないでしょうか。私の場合、小学校では学年x100円(1年生は100円、3年生は300円という具合に。)でした。中学生になると学年x1000円になり、高校生では一律5000円。こちらの調査結果とそこまで変わらない金額だったことが分かり、なんとなく安心しました。

 

 

お金の正しい使い方は無い!?大切なのは親子で納得できるまで話し合う事

 

2018年9月22日に放送されたEテレ「ウワサの保護者会 ~お金の価値 伝えるには?」(※1)では、お小遣い制を導入したけれども1年ほどで中止になってしまった親子を取材。「自分のお金なのに自由に使って何が悪いの?」と納得のいかない子供に対し、親は子供が無駄遣いしているように見えたと言い、親子の考え方のすれ違いが露わになっていました。

 

一方で、「お金を大事に」と言い続けてきた結果、無駄遣いをしない習慣は身についたものの、希望している高校への進学を金銭的理由から諦めると口にした娘とその親も登場。お金の使い時について、どううまく教えるべきなのかわからないという悩みも紹介されました。

 

 

無駄遣いも使い渋りも原因は子供の金銭感覚の未熟さです。番組内では、子供に金銭感覚を身につけさせるためには、まず家庭内で何にどのくらい費用がかかるのかというお金の話をするのが重要だと議論されました。

 

(※1)参考サイト:NHKウワサの保護者会

 

 

子供に金銭感覚を養わせることが大切

 

 

お小遣いを「正しく」使うためにはルールなどが必要かなと漠然と考えていましたが、まずはルールを決める時の基準となる金銭感覚を養う事が先決だと実感。節約ばかり気にしていて、ここぞという時にお金を使うことができないのであれば、それは金銭感覚が身についているとは言えませんよね。お金の価値は、使ってみないとわからない部分もあります。我が家でも子供には積極的にお金の話をし、親がお金をどう使うのかという後ろ姿を隠さずに見せるようにしようと思いました。

 

 

まとめ

「お金を大事に使おうね」と言い聞かせるだけではなかなか身につかないのが金銭感覚。お小遣いは、そんな金銭感覚について実体験として学ぶことが出来る貴重な機会という事がわかりました。一方で、お小遣い制を導入するだけで金銭感覚が身につくというのは安易な考え方。子供にお金の価値や使い方を学ばせるには、親子で繰り返し話し合いを重ね、金銭教育も同時に行っていくる事が大切です。