子供の最初の習い事として幼児に人気の高いリトミック教室。教室によって対象年齢は様々ですが、中には0歳から可能なところも。しかし、習い事と言っても、通うのはまだ楽譜も読むことが出来ない幼児です。一体どうやって活動に参加するのか気になりますよね。

 

今回は、一般的なリトミック教室で行われる活動の内容と、リトミック教室に通うメリットについてご紹介します。

 

リトミックとは?

リトミックは、スイスの作曲家・音楽教育家であるエミール・ジャック=ダルクローズが提唱した音楽教育法です。日本では主に幼児期の子供向けの音楽活動の一環として取り入れられているのが一般的ですが、他にも演劇や障がい児教育など様々な教育の現場で取り入れられています。

 

日本でのリトミック教育の先駆者であるリトミック研究センターのホームページによると、子供向けのリトミックについて、以下のように定義されています。

 

こどものためのリトミックは、リトミック研究センターの指導のねらい『情操教育』、『音感教育』、『生活習慣』を、三位一体の一貫した指導システムとして、子どもたちが自然に身に付けられるよう開発された教育法です。

 

出典:リトミック研究センター

 

つまり、リトミックというのは、音楽を通じて子供の成長を促すもの。ピアノ教室などのように、楽譜を読んだり楽器を演奏したりすることを目的としていないという事がわかりますね。

 

 

リトミック教室ではどんなことをするの?

全国に様々なリトミック教室があり、それぞれの教室の方針や指導者によってその内容は様々です。しかし、共通しているのは、音楽を通して五感を刺激し多面的な体験を提供することです。

 

具体的には、以下のような活動を織り交ぜながら10組程度のグループレッスンを行うというパターンが一般的のようです。低年齢の子供たちのリトミック教室は、基本的には親子リトミックというように親子ペアで参加する場合がほとんどです。

 

 

(1)リズム遊び

 

色々なリズムに合わせて、手拍子したり足踏みしたり。「タンタンタン」というシンプルなリズムだけを伝えるのでなく、「『パイナップル』をリズムでたたいてみるとどうなるかな?」などのように子供たちにとって身近な言葉(食べ物や動物など)を使って遊び感覚で行われることが多いです。

 

また、リズムだけでなく音の高低や速さ、強弱などを体で感じて音感が身につくような内容になっている場合も。例えば、ピアノ伴奏をよく聞きながら、音の調子に合わせて子供たちが輪になって歩いたり走ったり、ジャンプしたり止まったりというような遊び。また、音楽が止まったら椅子に座るという椅子取りゲームもリズム遊びの一つです。

 

 

(2)歌を歌う

 

子供たちに人気の旬の歌や、季節の歌、手遊び歌、わらべうたなどをみんなで一緒に歌います。歌いながらリズム遊びをしたり楽器をたたいてみたり、と他の活動と一緒に行われる事もあります。

 

 

(3)楽器で遊ぶ

 

タンバリンやカスタネット、ウィンドチャイムなどの小さな打楽器を中心に、子供たちが本物の楽器に触ったり音を出してみたりする経験です。ペットボトルとビーズでマラカスを手作りしたり、ストローで笛を作ってみたりと、楽器を手作する事で、よりその仕組みを深く理解するようなプログラムを提供している教室も。

 

定期的に様々な楽器奏者をゲスト講師に招いて、バイオリンなどのオーケストラで使われる楽器を間近で鑑賞したり体験したりできるという豪華なプログラムを提供している教室も。

 

 

(4)絵本

 

絵本の読み聞かせをプログラムに取り入れているリトミック教室はとても多いです。音楽鑑賞で演奏する曲と同じテーマの絵本を選んだり、音に関連する絵本を選んだりして、子供たちの想像力を広げるのが目的です。教室への導入の目的で読み聞かせが行われる事もあります。

 

絵本に合わせてピアニストが伴奏や効果音を入れてくれるところも。ちょっとした舞台を見ているような感覚になって、想像力がより刺激されますね。

 

 

(5)音楽鑑賞

 

数分程度の短い曲の鑑賞タイムを設けているところが多いです。ただじっとして聴くのではなく、音楽に合わせて身体を揺らしたり、ベビーマッサージなどを行ったりしながら聴くというスタイルも。音楽に親しみを感じてもらうという目的の他に、子供たちがクールダウンしたり集中力を高めたりする目的で取り入れられます。

 

ちなみに、赤ちゃんや幼児が一つの事に集中できる時間はとても短いですよね。レッスンは長くても1時間弱。どの教室も、これらのプログラムを全て一度のレッスンに行っているわけではありません。それぞれの活動を短時間ずつレッスンに取り入れているところもあれば、一度のレッスンで何か一つのポイントに絞っているところもあります。

 

 

リトミック教室に通うメリットとは?

音感やリズム感を身に着けても将来的に音楽の進路に進まない場合は意味がないのでは?と思われがちなリトミック。その効果は目に見えないので評価が難しいのも事実です。しかし、幼児期にリトミック教室に通うと以下のようなメリットがあると言われています。

 

\  こんなメリットが! /

 

(1)好奇心が刺激され、音楽への興味が高まる

 

音楽に触れる事によって子供の好奇心が刺激され、子供がどんなものに興味を持つのかということを親子で発見していくことができます。たくさんの歌や曲、楽器に触れて、音楽がどんどん好きになるという子もいます。

 

 

(2)集中力や即時反応を養う

 

楽器に触れてその仕組みを考えたり、絵本に見入ったり、演奏を聴いたりという静の時間を積み重ねる事によって、一つ一つの作業に没頭し集中するという事ができるようになると考えられています。

 

また、リズム遊びは「即時反応(※1)」を鍛える点でとても有効だと考えられています。

 

(※1)即時反応とは…音を聞いて瞬時に判断し行動すること。理解力や集中力、瞬発力、空間認知能力など色々な能力が必要になります。

 

 

(3)身体を使う

 

リズム遊びでは汗をかくくらい動き回る事も。外遊びできない雨の日でもリトミック教室で思いっきり身体を動かして満足するというパターンもあるようです。

 

また指先を動かすような小さな動きも脳の発達に大切だと言われています。特に楽器に触れて音を出すという体験は、手先の器用さを養うのにもとても効果的なのだとか。

 

 

(4)想像力を広げる

 

音楽や絵本から情景をイメージするという想像力に加え、「自分がこういう行動をすると、こんなことが起こるのではないか」というような実用的な想像力にもつながります。

 

 

気になったらまずは見学に行ってみては?

カワイやヤマハなどの大手音楽教室から個人の教室まで、全国各地でたくさんのリトミック教室が開催されています。地区センターやスポーツセンターなどの身近な公共施設で開催されている場合もあります。

 

 

我が家の次男は、1歳半の時に個人のリトミック教室の体験レッスンに参加したことがあります。普段はとても人見知りの激しい子なので、レッスンの前半は私にぴったりとくっついて離れませんでした。

 

しかし、レッスンの中盤で小物楽器を見せられると突然興味を持ち、カスタネットを触ったり鳴らしたりしながら集中していました。それからは先生の言う事もしっかりと聞いて、自分なりに楽しんでいるように見えました。1歳児でも、好きな事に対する集中力はものすごいものがあるのだなと感じました。

 

スケジュールの関係で継続は出来ませんでしたが、出来れば継続させたかったです。

 

 

今回ご紹介したのは一般的なリトミック教室の内容ですが、教室によってカリキュラムや方針などが異なります。通う事の出来そうな教室が見つかったら、まずは見学や体験に行ってみてはいかがでしょうか。その教室の具体的なレッスン内容や子供が楽しめそうかどうかなども分かるかもしれませんね。