大人の「学びなおし」、気になりませんか?とくに子育て世代のパパやママの中には、出産や育児を経験し、ぐんと人生経験が豊かになった中で、栄養学や心理学など、これまでの自分のキャリアとは全く異なる分野に興味を持ったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
前編では、最近注目されている「リカレント教育」についてまとめながら、大人の学びにはどんな選択肢があり、それぞれどのようなメリットがあるのかについてご紹介しました。
こちらの後編では、今まさに「学びたい」熱が上昇中の筆者の体験(まだまだ迷走中)を紹介しながら、大人の学びなおしのリアルに迫っていきたいと思います。
私の「学びなおし」の履歴書
まずは簡単に自己紹介を。私は小学生と未就学児の二人の男の子を育てるアラフォーのワーママです。数年前までは会社員をしていましたが、子供の体調不良で仕事を休みがちになってしまうこと(子供って本当によく熱を出しますよね…)や、職場で思うようにチャレンジできなく悶々としていたことなどが積み重なり、退職。2018年にフリーランスのライターとして開業しました。
さて、そんな経緯でライターとして活動している私ですが、これまで以下のように何度も「学び」を意識するタイミングはありました。しかし、残念ながらまだ納得感のある学びに出会えていないというのが現状です。
- 第一子の育休中に「PRプランナー」の資格を目指す(資格取得ならず)
- ライターとして開業後、専門分野を作りたくなり「フードアナリスト」の資格を取得
- コロナ禍でどこにも行けず、読書で知識欲を満たす
- 巣ごもりにも慣れた頃、オンラインセミナーにハマる
Contents
二つの資格にチャレンジするも、一方は挫折、もう一方はあまり活用できていない
大学卒業後、初めて「学びたい」という気持ちが出てきたのは、長男を出産した直後のことでした。ライフスタイルがガラリと変わり、赤ちゃん中心の生活を送る中で、母親としてだけでなく社会人としての自分も保ち続けたいという思いがあり、資格取得に向けた勉強を開始しました。その時興味があり、仕事に活かせるかもしれないと思ったのが「PRプランナー」。広報分野の民間資格です。資格取得を目標に、参考書を購入し、独学で勉強していました。育児休業中だったので、天気の良い日にベビーカーでお散歩に行き、子供が寝たタイミングでカフェに入り参考書を開く、というスタイルでした。
しかし、赤ちゃんの眠りは浅く、集中できて1時間。コーヒーを買い、参考書を開いた途端に子供が起きてしまう、という日もありました。なかなか勉強する時間が確保できず、結局試験にチャレンジする前に仕事に復帰することとなり、資格取得は一旦諦めました。
その後、二人目の出産後の育休では、上の子の赤ちゃん返りがひどく、勉強する気にはなれませんでした。結局仕事を辞め、フリーランスになって1年半が経った時点で「もう一度資格にチャレンジしてみよう」と考え、今度は「フードアナリスト」の資格にチャレンジ。食に関する情報のスペシャリスト養成のための民間資格です。食に関する記事を執筆する機会が増えていたので、その資格を選びました。仕事の合間に毎日少しずつ勉強時間を確保し、今度は試験を受け合格することができました。ただ、協会に所属し「フードアナリスト」とは名乗っているものの、私が持っているのは入門レベルの資格。自分のライターとしてのキャリアにその資格をうまく活かすためには、継続して学び続け、より上位の資格を取得することが必要でした。私の場合、そこまでのコミットメントをする時間も熱量も足りていなかったので、現在でも取得した資格を仕事に活かせていない状態です。(フードアナリストとして活躍している方は多くいらっしゃるので、資格自体の問題ではなく、あくまで私自身の問題です。)
ほぼ無料で学べる「本」は、隙間時間の有効活用にぴったり
2020年から2021年にかけては、コロナ禍ということもあり、自宅で過ごす時間が長くなりましたよね。それをきっかけに新しいことを始めた方も多いのではないでしょうか。私も最初はパンやお菓子作りにハマり、その後は運動不足解消のため宅トレに精を出す日々を送っていました。子供がピアノを習い始めてからは自分もピアノを再開するなど、これまでにない程、仕事と育児以外のものごとに目を向けるようになりました。(飽きやすい性格のため、なかなか続かないのですが…)
そんな中、唯一続いているのが読書です。本の良いところは、自宅にいながらでも世界が広がること。しかも図書館を利用すれば、ほぼ無料です(交通費がかかる場合もあるので、「ほぼ」です)。お金がかからないので、本を好きなだけ借り、読みたいページだけ読むという贅沢な読書方法もできます。私は家から徒歩5分ほどの場所にある公立図書館の取り寄せサービスにハマり、食や音楽など興味のある分野に関する本を読み漁りました。
気軽に人に会うことが難しかったコロナ禍においては、読書はちょうどよい学び方でしたが、自分一人で続ける孤独な学び方という観点では、デメリットもあります。また、ウェブ中心の文章に慣れている現代人にとって、専門書は難しく感じるものです。外出制限が緩和されるにつれ、人と一緒に学ぶという環境に対しての憧れがとても強くなりました。
コロナ禍で盛んになった新しい学びのスタイル「オンラインセミナー」も素晴らしい
不要不急の外出を自粛、という生活が続く中で、急速に普及したオンラインセミナー市場。ライターとして取材目的でさまざまなオンラインセミナーに参加するうちに、「会ったこともない人たちとオンラインで繋がるのはちょっと…」と当初は精神的なハードルを感じていたオンラインセミナーにも、段々と積極的に参加できるようになってきました。タイムリーな話題をテーマにしているセミナーも多く、今では「なぜ今までオンラインセミナーに参加してこなかったのだろう」と感じるほどです。
しかし、万能に思えるオンラインセミナーですが、「学びなおし」の観点では不満な点もあります。オンラインセミナーの多くは単発イベントであり、「豆知識やちょっとしたコツ」を教えてくれるような内容のものがほとんど。日々の生活や仕事に役立つという観点では大変有難いのですが、一つの分野について専門知識を深め、体系的に学びたい方には、向いていないと感じます。
子育て中でも大学や大学院で学べるのだろうか?
さて、「学びなおし迷子」状態の私ですが、色々な学びを経験してきて最終的にたどり着いたのが大学(大学院)です。大学での学びは、しっかりとカリキュラムが設定されており、一つの分野について体系的に学べるのが一番の魅力です。しかし、金銭的にも時間的にも負担が大きいので、現時点では、それなりの投資をすべき学びなのかということをしっかり見極めているところです。大学によっては通信(オンライン)過程を設けていたり、「科目履修」という科目ごとに授業を受けられる制度を設けていたりするところもあるので、そういった柔軟な制度を利用し、学びながら学び方についても考えていくという方法もアリかなと思っています。
一筋縄ではいかないけれど、それもまた学びのうち!ゆっくり時間をかけて学ぼう
筆者としては、さまざまな学び方を経験してきた中で「しっかり学びたいから、やはり大学(大学院)」という結論を出し、ようやく自分なりの「学びなおし」の道筋が見えてきたところです。しかし、当たり前ですが、「学びなおし」に正解はありません。
生き方が多様化し、学びの選択肢が広がるのは良いことですが、あまりに多くの選択肢がありすぎて、「何をどう選べばよいのかわからない!」と(私のように)迷走中の方もいらっしゃるかもしれません。でも大丈夫です!私はこれまで迷子ながらもその時々で自分に必要な学びを得ることができていましたし、その経験自体も学びの一部だと感じています。人生100年時代、時間はたっぷりあります。「焦らず、少しずつ」が大人の学びのキーワードなのかもしれません。